PTAB判断:審理開始されていないクレームに対する申し立てには禁反言の適用なし

Publication October 26, 2016

USPTO特許審判部(PTAB)は、Westlake Services, LLC 対 Credit Acceptance Corp事件に於いて35 U.S.C. § 325(e)(1)に基づく禁反言は審理開始が以前に否定されたクレームに対しては適用しないとして、特許権者によるビジネス方法特許審理を取り下げる申請を却下した。CBM2014-00176, Paper 28 (May 14, 2015).

35 U.S.C. § 325(e)(1)は、「§328 (a)に基づき書面による最終審決が下された本章上の特許クレームの付与後レビューを申し立てた請願者は・・・その付与後レビューで主張した又は主張し得た如何なる理由に基づいてもPTABに対して同クレームの審査の請求又は維持をしてはならない」、とされている。

Westlake Services事件の請願者は争点である特許のクレーム1~42に対するビジネス方法特許の審査を以前に請願していた(「CBM-008」)。その請願に於いてPTABはクレーム1~9、13、及び34~42のみの審理を開始したが、その審理中に最高裁がAliceの判決を下した。Alice判決を踏まえ、クレーム(1~42)の審理開始に対する判断の再考を請願する権利を請願者はPTABにより拒否されたが、PTABは二件目のビジネス方法特許審査の請願を提出するのは自由であると記した為、請願者は審理開始されていないクレーム10~12及び14~33の審査を請願した。

クレーム10~12及び14~33の審理が開始された後、PTABは一件目のCBM-008に対する書面による最終判断として、35 U.S.C. § 101に基づきクレーム1~9、13、及び34~42に特許性が無いとした。

特許権者は全クレームが無効とされるリスクを懸念し、二件目のビジネス方法特許審査の取り下げの申請をした。特許権者は、35 U.S.C. § 328(a)においてPTABは「請願者が無効と主張したあらゆる特許クレームの特許性に対して書面による最終判断を下す」ことが必要とされていることから、書面による最終判断には、審査開始が拒否されたクレームの決定根拠が必然的に含まれていることを意味すると主張した。すなわち、PTABのCBM-008における書面による最終判断は、クレーム1~9、13、及び34~42のみならず審査開始が拒否されたクレーム10~12及び14~33をも対象としており、二件目のビジネス方法特許審査は§ 325(e)(1)に基づき禁じられる、というのが特許権者の見解である。

PTABはこの主張に合意せず、過去のPTAB判断では、Sections 328(a) 及び325(e)はクレームごとに適用される解釈がなされていると記し、PTABはCBM-008の書面による最終判断は、クレーム10~12及び14~33を対象としていないと判断した。よって、特許権者の§ 325(e)(1)に基づく二件目のビジネス方法特許審査を取り下げる申請を却下した。

PTABによれば、連続的な請願によるプロセスの濫用を防止する方策は35 U.S.C. § 325(d)で取り上げられているとされる。同条項は「以前請願された先行技術若しくは議論と同等又は実質的に同等の先行技術若しくは議論」に基づく当事者系レビュー(Inter-partes Review or IPR)、付与後レビュー(Post-grant Review or PGR)、及びビジネス方法特許レビュー(Covered Business Method Review or CBM)をPTABが自己の裁量により却下できる権限を付与している。



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